Nobishino@勉強ブログ

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群論への30講 17講くらいまで読んだ感想(乱文)

昔むかし、薄いほうがいいだろうとおもって東京大学出版会の「群と環」みたいなやつを買ったけど、学生だったにもかかわらずN回くらい挫折したことがありました。

今の数学力は明らかに当時より低いにもかかわらず、「群論への30講」が意外と読み進めることができていてうれしいです。

今のところ一番エモかったのはコーシーの定理(だっけ?有限群の位数が素数pで割れるなら位数pの元が存在する)とpシロー群の存在定理で、どちらも群の働き・軌道と固定部分群のきれいな関係(ある群元の軌道の要素と、元の群の固定部分群による左剰余類の1対1対応)を駆使して証明されます。この「群が働く対象 - その軌道 - その固定部分群」という概念を軸にすることで「群元 - その共役元 - その中心化群」「部分群 - その共役群 - その正規化群」というものを同じフレームワークで明確に説明しているところが本当に好きで、このブログを書くに至った理由のほとんどはそこに対する感動にあります。昔はこのあたりの概念がわからなくて困っていました。

昔読んだ薄い本は「正規部分群!共役類!中心!中心化群!定義!例!定義!例!定理!補題!証明!広めの行間!」って感じでなんなの?って感じだったんだけど、30講は群の集合への働きと「軌道 - 固定部分群」の概念から見通し良く中心とか共役とかを説明しつつさらっとコーシーの定理とかpシロー群の存在が示せたりして偉い。ただ、序盤に立体図形の対称操作が題材として出てきて、いまいち納得しづらいので、ここがむしろ挫折ポイントでした。ここあんまり納得できなくてもその次くらいからちゃんと読めば読めます。ちなみにpシロー群の存在がシローの定理なのかなっておもって調べたらシローの定理はシロー群の共役とかそういう、存在以上の主張を含めたものを指すみたいですね。あと地味にgHとかabHみたいな書き方も読者が不慣れであることを先読みして丁寧目に書いてあるのもうれしい。

ただ、本の相性だけではなくて、競技プログラミングを始めるまでは離散数学に対する興味が薄くて、それなのに群論のなかで初等整数論を使う場面も多いから、そこに面白さを感じられておらずうまくいかなかった部分はあったのかもしれない。離散数学が面白いなあと思えるようになった8割くらいは競技プログラミングのおかげで、2割は数学ガールのおかげですね。

学力が高いか低いかでいえば学生時代のほうが高かったとは思うのですが、勉強の上手下手でいうと今のほうが上手になった気がします。 コツは何かというと、読める本を読むことですね(当たり前)。ただ、読める本を読むというためには前提として1冊にすべてを求めようとしない、もっと知りたくなったらもう1冊買えばいいじゃーんという緩さが必要で、その緩さこそがコツの本質かもしれない。